七五三の写真をよく見ると、ばっちり衣装を着込んだ、幼い私のほっぺたには涙のあとがくっきり。

お子様の成長を祝う七五三の衣装
お子様の成長を祝う七五三の衣装

七五三の衣装と、ほっぺたに残る涙のあと

結婚が決まり、新居に引越しをするのに、アルバムの整理をしていたら、私の七五三の写真が出てきた。「かわいーい」と発見した婚約者が声を上げて、笑う。「よく見てごらん、ほっぺたのところに涙のあとがあるだろ」と言うと、どれどれ、と目を近づけ、「あ、ほんとだ。なんで?」とこちらを向く。七五三の衣装を着こんだ、ぼっちゃん刈りの私の丸顔は、よく見ると、右のほっぺたに涙のすじが、くっきり残っているのだ。のちに母から聞いた話によると、こうである。初めての子供が授かった母は、明治神宮に七五三のお参りにいくのに、はりきって、上から下まで、ばっちり衣装をそろえたそうだ。義理の祖父祖母とともに、父の運転する車で明治神宮について、さあ、降りようとなった際のことだ。記念撮影もあるので、母は、私に、衣装に合わせた草履を履かせようとしたら、当時、仮面ライダーのビニール靴が大のお気に入りだった私が、ものすごい抵抗を見せたそうだ。何とかして、かわいい格好で写真に残したいという母親と、何とかして、お気に入りの仮面ライダーの靴を履きたいという私のバトルは、かなり長いこと続いたらしく、最後は、大泣きした私の勝ちであったようだ。ほっぺたをつたう涙は、そのときのものである。

私にとっては、この七五三の写真は、過干渉な母親の象徴のような思い出で、見るたびに、「母さんには、このころから苦しめられてきたんだ」と文句のひとつも言っていたのだが、どうやら、婚約者の目には、ちがって映ったようだ。「愛されていたんだね」婚約者は、そうつぶやいた。あのころの親の年齢になった今、初めての子供に、七五三の衣装を着せたい、という気持ちが、すっと理解できるような気がした。
私に子供ができたら、同じように七五三の衣装を着せて、父母を連れて、明治神宮にお参りに行こうと思った。

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